〒816-0954 福岡県大野城市紫台2−10
BELLFLOWER BLDG 1F
092-404-0067

脂質異常症

Dyslipidemia

脂質異常症- Dyslipidemia ―

脂質異常症とは

脂質異常症

脂質異常症とは、「悪玉」のLDLコレステロールや血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増えるか、または「善玉」のHDLコレステロールが減った状態を指します。

以前までは、「悪玉」と「善玉」を区別せずに総コレステロール値が一定の値を超えると「高脂血症」と呼ばれ、治療が必要とされてきました。

しかし、実際に心筋梗塞や脳卒中などを起こす危険性が高いのは、コレステロールの中でも「悪玉」といわれるLDLコレステロール値が高い方です。このため、現在ではLDLコレステロールの管理がとても重要視されています。

LDLコレステロールの値が高い方は、まずは循環器内科クリニックへご受診下さい。当院も予約を受け付けております。

こんな方は脂質異常症に要注意

次の項目で該当するものが多い人は、脂質異常症への注意が必要です。

  • よく暴飲暴食をしてしまう
  • 運動をほとんどしない
  • 肥満気味
  • お酒をよく飲む
  • タバコを吸う
  • 脂肪分の多い肉類、乳製品、卵類、内臓類、お菓子などをよく食べるが、野菜類、豆類はほとんど食べない
  • 精神的ストレスが溜まっている
  • 高血圧や糖尿病など、他の生活習慣病の持病がある
  • 家族性高コレステロール血症である

当てはまる項目が3つ以上ある方は、脂質異常症のリスクが高いと考えられます。早めに受診して医師の指導を受けるようにしましょう。

脂質異常症は放置するととても危険です

脂質異常症は、自分で気づくことがほとんどない疾患です。大抵の場合、健康診断などで異常な数値が見つかり、それが最初の発見となります。脂質異常症は軽視されがちですが、放置すると動脈硬化を引き起こします。具体的には、「悪玉」LDLコレステロールが多すぎたり、「善玉」HDLコレステロールが不足していると、血液中のコレステロールバランスが乱れ、結果的にコレステロールが血管内に蓄積します。これにより血管が損傷し、内部が狭まる可能性があります。

LDLコレステロールは血管壁に侵入しやすい性質を持っています。それが血管壁に堆積すると、プラークと呼ばれるコブが形成され、血管内部が次第に狭くなります。この状態は血管が硬くなり、もろくなるため、動脈硬化と称されます。プラークは血流を悪化させるだけでなく、破裂すると血栓を作り出す原因となります。この血栓により血流が阻害されると、その部位の組織や臓器が壊死するリスクがあります。これが心臓で起こると心筋梗塞、脳で起こると脳梗塞につながり、深刻な後遺症を引き起こしたり、最悪の場合、命に関わる可能性があります。実際、心疾患や脳血管疾患は日本人の死亡原因の上位を占めており、決してレアな病気ではありません。

また、中性脂肪の急激な増加も大変重要な問題で、注意が必要です。その原因となるのが「急性膵炎」です。これは、膵液という消化液の成分が自身の膵臓を消化し、炎症を起こす状態を指します。急性膵炎は他の臓器にも影響を及ぼし、さらに深刻な状態に陥る可能性があります。高濃度の中性脂肪が膵臓の酵素によって分解されると、大量の遊離脂肪酸が生じ、これが膵臓の毛細血管や細胞を損傷し、膵炎を引き起こします

この膵臓の炎症が繰り返されると、「慢性膵炎」に進行する可能性があります。それにより膵臓の機能が弱まり、消化不良や糖尿病を発症しやすくなるとともに、脂質異常症を放置すると慢性膵炎が重症化するリスクも高まります。

脂質異常症の管理目標値

脂質管理の目標値は、以下の表を基準にします。
「一次予防」では、原則として一定期間の生活習慣改善を行い、その効果を判定した後に薬物療法が必要かどうかを考えます。「二次予防」においては、生活習慣改善を行うのと併せて、表の管理目標値を目標として薬物療法を行うことが望ましいです。

リスク区分別脂質管理目標値

リスク区分別脂質管理目標値

表:リスク区分別脂質管理目標値
(日本動脈硬化学会(編):動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. 日本動脈硬化学会, 2022)

脂質異常症の治療

脂質異常症の治療は、まずは生活習慣の見直しから始まります。薬物療法は、生活習慣の改善を行っても脂質管理の目標値が達成できない場合、または動脈硬化疾患を引き起こすリスクが高まると判断されたときに開始されます。

脂質異常症の管理において、生活習慣の見直しは全ての患者にとって重要なステップです。具体的には、食事療法と運動療法が中心となります。

食事療法では、食物からの接種エネルギーの制限と体重の維持が有効です。標準体重と日常生活での活動量を基に、適正な総エネルギー摂取量(kcal/日)を計算します。これは、標準体重(kg)×身体活動レベル(軽い活動25~30、中程度の活動30~35、重い活動35~)で求めます。標準体重は身長(m)×身長(m)×22で導き出されます。

運動療法では、動脈硬化の予防効果が期待できます。特に、酸素を吸収しながら徐々に力を出す「有酸素運動」は、HDLコレステロールの増加に役立ちます。運動療法は、食事療法と併せて脂質異常症治療の基本となるので、継続的に実施することが大切です。喫煙者の方においては、禁煙することが動脈硬化の予防に非常に重要となります。

薬物療法において、薬の服用は、血液中の脂質の値を適切にするために行います。長期間に渡って服用する必要があるため、今自分にはどのような薬が処方されているのか、また自分は今後どのような薬を服用する可能性があるのか、あらかじめ知っておくと良いでしょう。脂質異常症の治療薬には、コレステロール値を下げる薬、中性脂肪値を下げる薬、その両方を下げる薬、と大きく3つに分けられます。

薬には治療の基本となる作用の他に、副作用が必ず存在します。脂質異常症治療薬にも様々な副作用が知られています。副作用の中には症状が進んでも放置し重症化することで命に関わるものもあります。そのため初期症状が現れた時点で適切な処置をとらなければなりません。それぞれの薬の副作用の初期症状を理解しておくことがとても重要です。担当の医師と一緒に副作用についても確認し、初期症状を見逃さないように気をつけましょう。

治療方針に不安や疑問があれば医師に相談を

食事療法や運動療法、使用する薬については患者さんによって異なるため、必ず医師の指示にしたがって進めることが重要です。

脂質異常症の治療は、生活習慣の改善と薬物療法が主軸となりますが、生活習慣の改善などで薬を飲まずに生活することが可能になる場合もあります。治療についての不安や疑問がある場合は、遠慮せず医師にご相談ください。

けいゆうメディカルクリニック 内科 循環器内科では、患者様個々の状況に応じた最適な治療を提案します。治療方針については分かりやすくご説明し、安心して治療を受けられるようサポートします。脂質異常症でお困りの方はぜひご来院ください。